「光の皇女」





「ルクレア帝国中央政庁」





　古代ルクレアの宗教センターであるエクセルシスを震撼とさせた光の神

ルシエルの突然の復活は，西ルクレアのモンテアダマンにある＜ルクレア

帝国中央政庁＞に鎮座するエディス皇統にまで伝播し，更に遠西地方に

ある＜新ルクレア帝国＞（禁じられた塔）に巣食うエディシスたちをも恐慌

に巻き込んだ。



　光暦4020年に行われたルシエルとナギの争いに先立つこと数年前のこと

である。

　エクセルシスはルシエルの突然の来訪を受け，完全にルシエルの意のま

まに動く組織にと改変される。

　新たに28人の貴族が，門閥主義によらず，能力主義によって選抜され，

ルシエル護持の金烏28部衆として成立。

　14人の司令官と14人の副官からなるこの組織は合議制を採用し，それま

での教団指導部を権力を持たない単なる御飾りの名誉職へと奉り上げ，エ

クセルシスの実権を完全に掌握する。



「老人たちの時代は去った」

　そして金烏28部衆は，西ルクレアのルクレア帝国行政府に居るアディス２

世に対し，リグヴィルへの譲位を迫った。

　これに対してアディス２世は，

「神は我等を見棄て給うのか？」と答えたという。

　しかし尚も金烏の代表は，アディス２世に，こう迫ったと伝えられている。

「ルシエル様は，こう仰った。＜７代も裔の責任までをも，私が持てるとでも

思っているのか？＞と」

「また，＜私の責任の範囲は，精々６親等内の血族までだ＞とも」

　アディス２世は宝錫を落とし，頭を抱え，それを限りに沈黙したと伝えられ

ている。





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